Vol.212
農家民泊体験記

文・川田 翠 さん(神奈川在住)
今回、綾部と出会うきっかけとなったのが、
里山ねっとのスタッフの方が書かれた一冊の本でした。
同行した友人に本を借り、巻末にメールアドレスが載っていたので、
本の内容に感銘を受けた私は、衝動的にメールを送っていました。
これから先どうしたらよいか迷っていましたし、不安でした。
そこで、自分の食べる分は自分で作り、あとの半分は好きな事を
活かす仕事をするという暮らしに関心を待ち、
田舎で過ごして、自分の行き方を見つめ直してみたいと思いました。
それからこの里山ねっと・あやべのHPで
「農泊(農家民泊)」を知り思い切って申し込みをしました。
そうして、体験先は「モモの家」の藤井さん宅に決まり、
この5月16〜18日に農泊を体験してきました。
夜行バスで京都、そして綾部へ。
藤井さんの家はバス停のすぐななめということでしたが、
どちらの方かと迷っていると、おじさんが声を掛けてくれました。藤井さんです。
(パッと見ると気難しそうかしら?)と思いましたが、
そんなことはなく、以前教師をされていたと言うだけあって、
芯のしっかりした人なのだと言う印象を待ちました。
お家には離れがあり、そちらを使わせてもらいました。
二人には十分すぎる広さで、優雅な気分になりました。
しかも目の前は山と田んぼの大パノラマなのです!!贅沢なすばらしい眺めでした。
昼前に着いたので、まず昼食を一緒に頂く事にしました。
おばさんは近くに仕事にでておられましたが、お昼には戻ってこられたので、
皆でそろって食事ができました。おばさんは、気さくで明るいので、
楽しくおしゃべりができました。どちらも両親位の年代なので、食卓を囲んでいると、
家族の様な気分になり、二人も娘が帰ってきたようだと言ってくれました。
そう、話してるうちに意外な共通点が判ったのです。
私は、三姉妹の末っ子なのですが、藤井さんにも三人の娘さんがいらしゃるのです。
そして、次女の方が嫁いで、私と一字違いになっていたのです。
そんな偶然もあり、親近感が湧いたのか、あまり気を使わず、
自然にコミニケーションがとれていきました。
お昼の後はカントリーウォークに行きました。
神社に寄り、橋を渡り、田んぼの中の道を歩きました。
通りすがりの人にも自然と挨拶が出てきます。
藤井家の近くの田んぼでは、小学生が田植えをしていました。
その中の子が私たちに、「一緒のやる?」と声を掛けてくれました。
その時は断ってしまいましたが、後から一緒にやらせてもらえば
よかったなと少し後悔しました。
ですが、自然の中、子供たちがのびのびと田植えをする姿を見て、
こんな環境で育ったら、たくましい良い子になるだろうなと感じました。
自分もこういった所で育ったら何か違っていたんだろうか・・。
もし自分に子供ができたらこういう環境で育てたいな。と色んな感情がでてきました。
それから家に戻ると、苺を摘んできていいよと言われ、私たちは散歩の途中で
見つけた苺がなっている畑にカゴを持ち、ウキウキと採りにでかけました。
これが後々笑い話になるのですが、
そこは、他所の家の畑で、私たちは勘違いをして採って来てしまったのです!
帰ってきて、藤井さん家の庭になっていた苺を見たときはギクリとしました。
正直に打ち明けると、二人とも、”え〜”という感じで驚いていました・・・。
おじさんがそちらの家に電話で説明してくれたので、事なきを得ましたが、
自分たちが堂々と苺ドロボーをしていたと思うと、複雑な気分です。
でもそれも良い思い出なのです(笑)
そうして採った苺はヨーグルトと蜂蜜をかけていただきました。
おじさんは蜂を飼っていて、自家製の蜂蜜なのです!
サラッとした甘さでとてもおいしく感激しました。
藤井さんは本当に多趣味で、稲作に野菜作りに蜂蜜作りはもちろん、
釣や、カヌーもするそうです。
ご夫婦のアクティブな生き方にはとても感銘を受けました。
そして、(エンデの「モモ」に由来する藤井家の愛犬)モモの散歩に行きました。
モモは体が大きく、とてもパワフルで引っ張られます。田んぼの水路が大好きで、
バシャバシャと歩き、濡れた体で足にしがみついてくるので圧倒されっぱなしでした。
次の日には慣れたせいか、何とか無事に散歩もでき、おかげで、度胸がついたように思えます。
夜は、近くでいただいたシメたばかりの鶏で、鍋をいただきました。
普段は食べられない内臓の部分も食べれたし、藤井さん家のおいしいお米や、
山菜などもごちそうになりました。そして、藤井さんも、おばさんも、
私もお酒が好きで(友人は苦手なので晩酌で活躍)盛り上がり、
今日体験した話などをしながら、一日目が幕を閉じました。
二日目は、朝ごはんの後、畑の草取りをし、それから国宝・二王門に出かける事にしました。
おじさんに「あやべ温泉」まで送ってもらい、そこから歩き出しました。
その日は夏日で日差しの強い中、二人でひたすら山道を登って行きました。
途中、誰一人出会うことなく、山の中には私たちしかいないような感覚でした。
そうして到着した二王門からは、国宝の威厳が伝わってきました。
その辺りいったいの空気が澄んでいるのです。
私たちはさらに光明寺に上がっていき、お参りをして、こうして綾部に訪れることができ、
藤井さんをはじめ、綾部の方々に出会えた事を感謝しました。
そうして沢山歩いた後の温泉は、最高に気持ちよかったです!
「あやべ温泉」におじさんが迎えにきてくれたので、そこからドライブすることにしました。
行き先は、舞鶴です。どうしてかと言うと、昨日、私が思い付きで
「海が見たい」と言ったからです。日本海はまだ見たことがありませんでした。
そういったわけで、綾部からくねくねとした道を通り、舞鶴へ。
舞鶴湾は辺りに山に囲まれた、湖の様な海でした。そこで少し一息つくと、
おじさんが最後に教えられた定時制の高校を通り、綾部にもどりました。
その夜は手巻き寿司をしました。昨日の鍋もそうですが、大勢でないとあまりやらないメニューです。
自分たちの暮らしのことや、これからどうしたいかなど、色々な話をしながら食事をしました。
こんなに楽しく、会話のある食事は初めてのような気がしました。
昨日合ったばかりの人たちとは思えないくらい打ち解けられたのです。
食事が終わると、その日の暑さでまいってしまった稲の様子を見に行きました。
心配でしたが、水をたっぷりあげていたお陰で回復しているようでした。
ほっと一安心です。農家は命を育てる仕事。いつでも気が抜けないのだと思いました。
帰ると、皆でカラオケをして、誰が一番下手かを競って歌いました。
(ちなみに最高点はおばさん、最下点は友人でした(機械の故障?)
おじさんと、私は少し飲み直したこともあり、ハイテンションでした。
ふと、おじさんが「帰ったら親孝行しなきゃな」といい、内心泣きそうな気持ちになりました。
そして、お土産に自家製の蜂蜜をくださいました。
布団に入ってからも、「この感じはなんだろう」と友人と話していました。
気を使うわけでもなく、わだかまりも無く、他人と接するのは今までほとんどありませんでした。
そして、これは私のみの感情ですが、自分は、この藤井家で理想的な家族の姿を
体験しているのだと感じたのです。
なので、今回、藤井さん夫婦の生き方、
おじさんとおばさんが協力して生活される姿を見て、
今まで、自分にとって当たり前だった暮らしが、いかに調和がとれていなかったかと
あらためて気づかされました。
そして、帰る日の朝です。朝食が済むとおばさんは仕事なので、そこでお別れをしました。
忙しい中、私たちを受け入れてくれたことは本当にありがたい事です。
車に乗り、仕事に向かうところを手を振って見送りました。
バスの時間まで私たちは離れでゆっくりしたり、家に周りをぶらぶらしていました。
時間になったらおじさんが田んぼから戻ってきてくれるので、
その間に私たちは手紙をかいて、母屋のテーブルに置いておきました。
いよいよお別れのときですが、感傷的になることはありませんでした。
お互いに良い時間が過ごせた確信があったと思います。
お礼をいい、バスに乗り込み、手を振って別れました。
そして、餞別に採らせてもらった苺を食べながら、綾部駅に向かいました。
今回の旅は、色んな感情に出会えた旅でした。
普通の観光では得られない、大切な何かを見つけられた気がします。
私の人生はまだまだ模索中ですが、今回の農泊は大きなヒントを与えてくれました。
でもたった二日。農家の生活の断片を見たにすぎません。
だから、また新たな発見を見つけに、綾部にいきたいです!(おしまい)
●川田翠さんのプロフィール
1980年、神奈川県(大和市)生まれ。現在はフリーターで、
夢はイラストレーターとして、自然の豊かな所に住むこと。
最近はヨガとカリグラフィーにハマってます。
挑戦したいことは、植林と野菜づくり。
●川田さん、すてきなエッセイをありがとうございました!
自分のいろんな感情に出会い、それを味わうって大切なことですね。
綾部での農家民泊が川田さんの未来の何かのお役に立てていたらうれしいです。
ほんとうに遠く綾部までありがとうございました!(文・塩見 直紀)
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・・・・・・・・・■インフォメーション■・・・・・・・・・
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里山ねっと・あやべのスケジュール(2005年6月〜8月)
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里山ねっとでは下記のイベントを開催予定です(参加者募集中)。
◆6月(水無月)……
・18日(土) *森林ボランティア「fairy of grove」
※里山的生活メイルニュース発行(21日=夏至)
◆7月(文月)……
・16日(土) 17日(日)*あやべ里山米作り塾
案山子づくりなど
・10日(日) *とよさと石窯ゆめ工房(パン焼きクラブ)
・16日(土) *森林ボランティア「fairy of grove」
・17日(日) *とよさと石窯ゆめ工房(パン焼きクラブ)
※里山的生活メイルニュース発行(7日=小暑、23日=大暑)
◆8月(葉月)……
・上旬 *あやべ里山そば塾(第3期)
・07日(日) *とよさと石窯ゆめ工房(パン焼きクラブ)
・16日(土) *森林ボランティア「fairy of grove」
※里山的生活メイルニュース発行(7日=立秋、23日=処暑)
=========こちらもただいま募集中です==========
・第3期「あやべ里山そば塾」、塾生募集中(8月スタート)
・農家民泊体験(常時受付中)
・パン焼き体験(グループの体験学習等/常時受付中)
・森林ボランティア等の体験活動募集中(同上)
・田舎暮らし相談会(常時受付中/於 里山ねっと)
・あやべ田舎暮らし情報センター(常時開館/里山ねっと内の里山図書館)
・里山ねっとボランタリースタッフ(HPをご覧ください)
・市民農園@綾部、募集中です(お問合せは里山ねっとまで)
・菜園付分譲地「檪の里」、ただいま好評分譲中です(綾部市)
お問合せ:里山ねっと事務局まで。
電話0773−47−0040、またはayabe@satoyama.gr.jpまで。
※視察等の受入れもおこなっておりますのでお問い合わせください。 |