●バックナンバー1〜20

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1●森林理想郷を求めて−美しく小さなまちへ
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『森林理想郷を求めて−美しく小さなまちへ』(平野秀樹著・中公新書・1996年)を読んでいたら、気になるアメリカの事例に出会った。
「『アメリカの小さなまちベスト100』(The 100 Best Small Towns in America)という本がアメリカで静かなブームになっているという。21世紀の綾部の参考になるような気がする。以下は平野秀樹さんの紹介文から。
人口5000〜1万5000人の小さなまちを著者ノーマン・クランプトンが全米から選んだ。巨大都市住まいに、うんざりしていませんか。清浄な空気と安全な道路、良い学校、それにフレンドリーな隣人たちが住むところで新しい生活をスタートさせてみませんか。
 そう誘う著者が選んだ100の小さなまちは、いずれも自然にめぐまれた景観のよいスモールタウンだ。ローカル新聞や教会は、ちゃんとあるか。テレビ、ラジオは何局あるか。教育レベルや医師の数に問題はないか。もちろん、著者の独断も加わっているが、若者率や高等教育機関数など、各指標を客観的に評価したガイドブックになっている。
 第一位はネバダ州のエルコ(1万4700人)。隣のユタ州の州都ソルトレイクシティから西へ200マイルほど離れた大西部らしい牧畜と金鉱のまちだ。犯罪発生率は全米平均の6分の1以下という低さである。
第2位はコネチカット州のエセックス(5900人)。古い街並みをもった川沿いの小さなまちで、観光業と工芸品生産が盛んだ。メインストリートにあるツーリストショップの人気が高い。
第3位はアリゾナ州のペイジ(6600人)が続く。主産業はやはり観光業。このまちには美しい湖があって、ルアーフィッシング用のゴム製ミミズをつくる日本人の会社(ヤマモト・ベート・プラスチック・ワームズ)やハウスボートをつくる地場産業も元気だ・
 魅力ある小さなまちが、この後いくつも並んでいる。楽しいガイドブックのおかげでアメリカのスモールタウン人気は、当分続きそうである。」
美しく小さなまち。あやべはどんなまちをめざすのか。上記の本は示唆を与えてくれている。


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2●「思い」がカタチになるということ ※里山倶楽部
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大阪で活動されている里山倶楽部の副代表である大亦義朗さんのことばに出会い、大変衝撃を受けました。
「どんな山にも必ず持ち主がいます。里山はその持ち主が抱く“思い”や手入れによって、たとえばミカン山とかクヌギ山、スギ山というように、できあがっています。
持ち主に何の思いもない時、そこは荒れ山になってしまうのです。」(『月刊アネモネ』1999年8月号より)
この地球に対し、日本に対し、綾部に対し、家庭に対し、仕事に対し、人生に対し、自分に対し、他者に対し、私たちはいったいどんな“思い”を抱いているだろう。
「思ったこと以外は現実にならない」とよくいわれます。
「いま、何を思うか」が問われているのかもしれません。(事務局・塩見直紀)
※里山倶楽部に関してお知りになりたい方は事務局まで。またはインターネットでも検索可能です。
以上。「どんな山にも必ず持ち主がいます。里山はその持ち主が抱く“思い”や手入れによって、たとえばミカン山とかクヌギ山、スギ山というように、できあがっています。持ち主に何の思いもない時、そこは荒れ山になってしまうのです。」(里山倶楽部副代表・大亦義朗さんのことば/『月刊アネモネ』1999年8月号より)


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3●田舎にも三つ星レストラン
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お隣の三和町に素敵なレストラン「富草(とみくさ)」があります。同町出身で京都市内でデザイン事務所を構えておられた女性デザイナーがUターンで三和にもどられ、自宅を改装して素敵な店を2000年に作られました。オーナーが創りだす富草の世界(おいしい手料理、店の趣、周囲の自然)にひかれて、またお人柄にひかれ、都会からも近隣からも人を引きつけ、口コミでひろがっています。都会の友人が来綾してくれたとき、連れて行くとみんな喜んでくれます。13席あまりの小さなレストランですが、予約なしで行くと、満席であきらめて帰らないといけません。みんな口々に言います。「こんな店が綾部にもあったらなあ」と。友人が来綾してくれたとき、あなたはどこで食事をとりますか?
『農的循環社会への道』(篠原孝著・創森社・2000年)に、21世紀の店づくりのヒントがありました。ご紹介しましょう。「フランスのミシュランというタイヤの会社が出している本にレストランとホテルのガイドブックがあり、星を使ってランク付けをやっている。それによれば、三つ星レストランというのはフランスで19。二つ星が50ぐらい、1つ星が300ぐらい。いっぱいあるレストランの中でそれだけしかない。日本だと三つ星レストランは、ほとんどが東京、大阪、名古屋、福岡など大都市に集中するが、フランスは違う。  三つ星レストランは、パリには19のうち5つしかない。あとの14は田舎にあり、それが名物になっている。これも「地産地消」の表れだ。その土地でできたものをその土地で料理して食べるということだ。 フランスにはマルシェという朝市があって、野菜や魚、チーズ、肉などがトラックでどんどん運ばれてきて、魚などは日本よりは豊富だ。シェフやパリジェンヌが、みんな買いに来る。それがどんなアパートからでも歩いていけるところに3つぐらいずつあるようになっている。このように、食生活を大事にするし、原材料にもこだわる。 日本でも、米や魚の付加価値を高めるといても限界があるのだから、さらに付加価値を高めるという意味で、みんな東京に送らず、その土地で食べるようにしたらどうかと思う。たとえば三陸の塩釜なら、「塩釜には、新鮮な魚がおいしい三つ星レストランがこれだけある」と、人をどんどん呼べるはずだ。三陸の海域には非常に脂肪分の高いプランクトンがあるのだから、それを食べた魚は当然のことながら脂肪分が豊かでおいしい。こうした魚を東京に送るだけではもったいないことで、むしろ塩釜に食べに来てもらうというようなことを考えたほうがいいのではないかと思う。獲れたてを塩釜で食べたほうがおいしいのはあきらかである。
週休二日制が完全に定着し、ハッピーマンデーもでき、日本にも欧米並みの休暇制度が徐々に浸透しつつある。もともと潜在的に田舎志向、自然志向があり、相当の人たちが休暇にゆっくりと農村漁村に出かけてくる可能性が強い。旅行には当然食べ歩きがつきものであり、フランス人と同じく食通の多い日本人は、本物の味を求めて旅するようになることは間違いない。これが地域振興にもつながることになる。」


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4●森と平野に分化定住する時代
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97年に出会って以来、気になる本があります。著名な西洋占星術研究家マドモアゼル愛さんによる『森と平野に分化定住する時代−もっと別の生き方がある−』(星と森・1997年)です。魅力的な「新社会構想」本で、一読してインスパイアされて以来、何冊もまわりに手渡してきました。100ページにも満たない本ですが、「ビジョンのちから」のある本は多くの頁を必要としないのかもしれません。
私たちはどんな国や世界をつくりたいのか、今、その構想力と実践力が問われています。ただ流れにまかせているのみでは、もう私たちの時代が立ち行かないことは誰の目にもあきらかな時代に、著者は「すべての人に喜びをもたらす道がある」と、
@「定住」、A「(中山間地での)自然復活作業(森や山の再生)」、B「ノンハード(ソフト型経済)」、C「(それぞれの天性を活かす創造的な)文化の営み」の観点から、
経済化から取り残された地域=中山間地域には、平野(平野部はこれまでのハード型経済に適し、経済的価値観が優先される場所)に匹敵する価値と新たな富を生じる重大な可能性が潜んでいる、「山をソフトの拠点」ととらえ、ソフトを創造する人を山に集めようと提案。
「陶芸の山」「合唱の山」「能の山」「ヒーリングの山」などありとあらゆる文化のソフトを山にもってくると無数の文化の山ができる。ハードにお金をかければかけるほど失敗するのがソフト経済。ソフトにこそ命を吹き込もう、ソフトの創造にこそエネルギーを注ごう。
ハード型経済とそれを支える生き方も否定せず、新たなソフト型経済とそれを支える文化・芸術的生き方を育てていこうとメッセージされています。
あなたなら、どんな山を創りますか?どんなソフトを創造しますか?


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5●人はなぜ旅をするのか
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旅とはもともと“他火(たび)”。他者に火(愛や慈しみ、力、勇気・・・・)をいただきながら歩行をすすめ、世界を、自分を、発見(ディスカバー)する文化的な仕掛けでした。
家から学校、職場への小さな移動も、あやべ温泉にいくことも、素敵な他火(旅)です。一人ひとり、みんなみんな、「可能性の宇宙」をもっています。みんながそんな宇宙を発見し合える旅の“きっかけ”を、里山ねっとも創れたらうれしいです。みんなのそんな旅を応援できる綾部にできたらと思います。
ところで、人はなぜ旅をするのでしょうか?
この春、新設され、グリーンツーリズムやエコツーリズムを学べる京都嵯峨芸術大学に赴任された坂上英彦さん(芸術学部観光デザイン学科教授)は、「人はなぜ旅をするのでしょうか。旅は個人の欲求から始まります。つまり答えは、自分の中にあるのです」とおっしゃっています。
人はなぜ“田舎”や“自然”を求めて、旅をするのでしょう。その答えも旅人の心の中にあります。
観光心理学という学問分野があり、この春、京都の出版社から本が出ましたが、人はなぜ旅をするのか、里山ねっとでもじっくり考えなければならないテーマだと思います。
今年の里山塾で坂上さんをお招きし、詳しく、人はなぜ旅をするのか、伺う予定にしています。お楽しみに。
あなたは、なぜ旅をしますか?
★★お知らせ★★エフエムいかる(76.3MHz)にて、里山ねっとの番組が誕生しました。5月4日スタートで、毎週金曜日、12時15分から約10分間の番組です。スーザン・オズボーン、ウォン・ウィン・ツァン、エンヤなど「里山・癒し系」の1曲も毎回お楽しみいただけます。ぜひお聞きください。


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6●バリ島モデル
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以前、詩の朗読会で来綾(奥上林)されたことがある詩人・山尾三省さん(屋久島在住)と作家・宮内勝典さんの対談集『ぼくらの智慧の果てるまで』(筑摩書房)に、21世紀の生き方、暮らし方のヒントになるメッセージがありました。
以下は、宮内さんの文です。
「僕が今ぼんやりと考えているのは、バリ島型の社会です。バリ島では朝早く水田で働いて、暑い昼は休憩して、夕方になるとそれぞれが芸術家に変身する。毎日、村の集会所に集まって、音楽や踊りを練習をする。あるいは、絵画や彫刻に精魂を傾ける。そして10日ごとに祭りがやってきて、それぞれの技を披露しあい、村人たちが集団トランスに入る。そして翌朝は水田で働き、夕方には芸術家になり、10日ごとに集団トランスに入る。
村人一人一人が、農民であり、芸術家であり、神の近くにも行く。つまり一人一人が実存の全体をまるごと生きる。僕はこのバリ島モデルを、人類社会のモデルにすることはできないか、過去に戻るのではなく、未来社会に繋ぐことはできないか暗中模索しているところです」。
生き方を模索され続けてきた宮内さんがたどり着かれたバリのこの暮らし方は「部分」を生きてしまっている私たちに、「全体を生きる」ことへのヒントをくれている気がします。
綾部発「21世紀のライフスタイル(=里山的生活)」の探究と提案。それは里山ねっとの大事な仕事の1つです。


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7●「地元学」からはじまる環境政策・住民参加・地域づくり
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常に先駆的な特集を組み、未来の潮流を出版物として、世にメッセージされておられる農文協(農山漁村文化協会)さんの「現代農業・増刊号」は要注目の書籍です。今回も「流石!」と叫びたくなる企画の本『地域から変わる日本〜地元学とは何か〜』がこの春、出版されました。その本に執筆参加されておられる里地ネットワーク事務局長の竹田純一さんをお迎えして、「地元学〜豊かな地域固有の生活文化、地域資源の発見法〜」をテーマに第3回里山塾(6月9日)を開催します。地元学(じもとがく)とは、聞きなれないことばですが、「地元に学ぶこと、住んでいる住民自身が、よそ者(外部者)の目を借りて地元のことを調べていくことです。住んでいる人自身が、現実の地元を再確認する過程で、地域内のコミュニケーションが活発になったり、住んでいる地元の将来のこと、子どもや孫に引き継がなければならないコトやモノが見えてきます。地元学は、地元の生活文化を知る機会であり、住民参加の環境政策、地方自治を創造する技法であり、さまざまな計画の基層となるものです。地元学は、机上の学問ではなく、調べた人、参加した人が詳しい人となる、実践の学問です」と里地ネットワークでは地元学の啓発に力を入れておられ、竹田さんは全国を講演してまわっておられます。
「ないものねだり」の20世紀は終わり、地域にすでに存在する、潜在する「地域の資源、遺産、経験、記憶など」に光をあて、「あるもの探し」によって、地域を見つめ直す時代と言われています。「ないものねだり」から「あるもの探し」の時代へ、時代は変わりつつあるようです。そんな今、「地元学」による「あるもの探しの地図づくり」や「人材マップづくり」が全国で盛んになっています。
「子どもや孫に引き継がなければならないコトやモノが見えてきます」というメッセージが心に響いてきます。みなさんにとって、子どもや子孫に引き継ぎたいこと、それは何ですか?それがすべての出発点かもしれません。※第3回里山塾については、「里山塾」のページをご覧下さい。
地元の人と地元以外の人が、一緒に町を歩き、光っている「何か(=地域資源)」、埋もれている「何か」、気になる「何か」を、見つけたら、1つにつき、1枚の紙(地域資源カード)に記入していきます。文化の継承者であり、記憶の保有者(語り部)である高齢者等からも、話をうかがい、どんどん伝承や記憶を掘り起こしていきます。
地域資源に気づき、また見て、触れて、語り、楽しむ中で「未来への希望」が生まれてきます。お年寄りをはじめ、みんながどんどん輝いていきます。
アフリカには、1人のお年寄りが亡くなるということは、図書館1軒が焼失するのと同じくらい貴重な知恵が消えてなくなるという意味のことわざがあります。初めて「地元学」という言葉に出会ったとき、このアフリカのことわざを思い出しました。
1年前、縁あって綾部に初めて訪れて以来、綾部ファンになった京都市山科区の高美代子さんに取材、イラスト、デザインをお願いし、編集にあたっていただきました。「外からの目」を借りることによって、従来の視点を超えた「21世紀の新しい地図」と好評をいただいております。この地図によって、豊西地域のさらなる新しい可能性が見出され、またご家庭内での話題の1つとなり、明日への希望が生まれるきっかけとならんことを祈念いたしております。
「何もない田舎」の魅力を引き出す豊かな地域固有の生活文化や地域資源の発見法を、いま話題の「地元学」に学びます。第一人者をお迎えしての第3回目の里山塾、ご期待ください。
里山ねっとの活動拠点である旧豊里西小学校周辺の地図づくりにかかわる中で、京都市内で活発な非営利活動をおこなっている「環境市民」が主催した「里山市民学校(5回コース)」にこの春、参加した。「里山の可能性と日本の先進事例」をテーマに「地元学」に詳しい里地ネットワーク事務局長の竹田純一さんに出会った。*と き:平成13年6月9日(土)13:30〜18:00


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8●未来をデザインし、いない人を誘致する町
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京都の「環境市民」が開催した「里山市民学校」にこの春参加して、里地ネットワーク事務局長の竹田純一さんとのご縁をいただき、今月9日開催の里山塾の講師としてお越しいただくことになった。(※詳細は里山塾のページ参照)。全国を東奔西走される竹田さんは全国の魅力的なまちづくりの先進事例に詳しい。過去、様々な里山に関する活動やまちづくりに関する講演を聴いてきたが、竹田さんの講演は刺激に満ちたものだった。
その中でも九州のある町の事例に大変インスパイアされた。地元学という「まなざし」をもって、地域を歩くなかで、既存のまたは潜在する地域資源に光をあて、掘り起こしていく。地元学をはじめていくとまち(地域)の人材マップが知らず知らずにできあがっていく。その反面、「地域にいない人材」も知らず知らず浮かび上がっていく。そのまちでは、「町のビジョン」に照らして、必要な人材を誘致するという。例えば、まちを市内外に広報PRしていくために、センスのいいデザイナーがいるとする。住む家(古民家など)事前に用意しておき、ふさわしい人が見つかると、「こんな自然豊かな町で暮らしませんか?」と誘い、「いいですね!でも、住む家、ありますか?」という言葉を導き出し、「いやぁ、実はいい物件があるんですよ」とうまく住民(新戦力?)にしてしまう。
企業誘致の時代から天才誘致、才能(個性)誘致の時代へ。まちの10年、20年後、いや50年、100年後のビジョンからすべてを発想していくまちづくり。
綾部にはどんな人が必要だろう。あなたならどんな人を誘致しますか?
9日の竹田さんの講演が楽しみです。綾部に来ていただけることを感謝しています。


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9●ユニーク・ポジショニング
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それぞれの都市が、市町村が新しい時代を模索する中、後発の「里山ねっと・あやべ」が独自の道を進んでいくにはどうすればいいのか。この活動を通して次の時代へ継承したいものは何か。それにはどんなビジョンを掲げ、どんな戦略が必要なのか。そしてそれぞれが有する知恵や情報、ネットワーク、技術、ソフトをどう活かせばいいのか。そんなことを考えていたある日、1冊のビジネス書に出会った。『ユニーク・ポジショニング』(ジャック・トラウト+スチーブ・リブキン共著、ダイヤモンド社・2001年刊)だ。
商品と情報が氾濫する現代。その中で企業が生き残るためには、差別化ではなく、「真の独自化」が必要であるとその本は説く。著者はその本の中でハーバードビジネススクールのM・ポーター教授が提唱する「戦略的位置づけ」という概念を紹介している。
ポーター教授は、同じことをして競争相手より、よい成績を上げることでは短期的な競争上の武器にしかならない。同じことで争えば、似かよってしまうのは当然。そこで、企業は「競争相手と違ったボジション」を選ぶべきで、戦略的位置づけをもって、「違うレースを選ぶこと、自分が勝てるレースを選ぶこと」が大事という。「自社が勝てるレース」を選ぶ「戦略的ポジショニング」こそが決め手になると。
企業という文字は国家、行政、組織、グループ、さらには1人の人間にも置き換えられそうだ。里山ねっとが勝てるレースはどこにあるのか。どんなレースを選べばいいのか。ナンバーワンをめざす時代からオンリーワンをめざす時代へ。「ユニーク・ポジショニング」という考え方は大変示唆に富んでいる。
あなたなら綾部をどんな「ユニーク・ポジショニング」に位置づけますか?


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10●オルタナティブツーリズムデザイン
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グリーンツーリズム、エコツーリズム、アーバンツーリズム、ヘリテージツーリズム....。いろんな旅のカタチがあります。里山ねっと・あやべが目指したいなと思うのは、「オルタナティブ・ツーリズム」です。オルタナティブ(alternative)とは、「代替」「代わり」を意味する言葉ですが、ここでは「もうひとつの、新しい時代の」という意味で使います。いま、里山ねっとでは、あやべの里山を舞台に、「21世紀の生き方、暮らし方」を考える旅(他火)を企画中です。農家民泊型の綾部独自のオルタナティブ・ツーリズムを模索していて、その1つのカタチが「21世紀の生き方、暮らし方を考えるための、あやべ田舎暮らし初級ツアー(夏編・7月20日〜22日の2泊3日・ただいま募集中!)」となりました。
7月20日(金・海の日)のツアーの初日は第4回目の里山塾とセットになっていて、京都嵯峨芸術大学の観光デザイン学科の坂上英彦先生に「人はなぜ旅に出るのか〜21世紀の旅、田舎への旅、自分探しの旅〜」をテーマに講演いただくことが決定しました。
「人はなぜ旅をするのか」という観点から、「それぞれの21世紀の生き方、暮らし方」を考えるきっかけになればうれしいです。「新しい時代の観光」について、一緒に考えていきましょう!


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11●都市と農村の相互交流の思想
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『月刊ふるさとネットワーク』(発行・ふるさと情報館)に興味深い「都市と農村の相互交流の思想」が紹介されていました。以下はその紹介文です。
「大都市に一極集中が進行する一方、大都市にこだわらない生き方を選ぶ人々も増えています。都市(アーバン)から田園(ルーラル)への暮らし替えや都市にいながらも田園にも拠点を持ち、自然のサイクルで暮らしを考える人々を“ラーバニスト”と命名します。
「Rurban(ラーバン)」とは、もとは「Rural(ルーラル/農村・田園)」と「Urban(アーバン/都市)」の合成語で、アメリカの著名な農村社会学者ギャルビンが、1915年に「Rurbanism(ラーバニズム/都市農村共同体・都市と農村の相互交流)」の概念として提唱した言葉に由来する。
今、日本でもアーバニズム(都市中心型生活様式)からラーバニズム(都市農村相互交流型生活様式)の時代になろうとしている。
・・・ラーバンは「都市と農村の本来のナチュラルな在り方」を個人の生活レベルでも実現しようという新しいライフスタイルの提案です。
・・・ラーバンは都市生活者だけの問題ではなく、「農村生活者が大都市生活・文化・情報を享受する」ことや「農村に移り住んだ都市生活者が都市とのつながりをもちながら生活をエンジョイする」ことも含め、“都市と農村の相互交流の思想”です。
都市と農村の相互交流の思想。私たちはその思想、哲学をつくっていかなくてはならない。
四つのエレメント〜21世紀の綾部へ〜 文●井田 彪
悠々たる由良川の流れ、中丹の美観を形づくる山々の緑、のびやかに田畑をわたる風、どこまでも広がる風景に降り注ぐ太陽と。人々の営みと想像力の始原である水、土、空気、火が綾部にはふんだんにある。この四つのエレメントが綾部の人と自然をつなぎ、そして文化を生き生きと創成させる。 山紫水明、心の故郷をつくりだすエレメントに抱かれた綾部、この地から21世紀の芸術文化を自生させ発信できることを念じている。


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12●「晴耕雨創」というライフスタイル
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KJ法の創始者として有名な川喜田二郎さん(東京工業大名誉教授)は『野性の復興〜デカルト的合理主義から全人的創造へ』(祥伝社・1995年)の本の中で、「晴耕雨創(せいこう・うそう)」というライフスタイルを提唱されている。
これからの全人的な生き様を描きたいと、日本の昔からの言葉「晴耕雨読(晴れれば自分の身体を使って畑を耕し、雨が降ったら読書三昧という、1つの理想的なライフスタイル)」をもじって、雨が降ったら、読書ばかりではなく、創造的活動をしようと「晴耕雨創」と名づけられた。
いま、世界では、新しい時代に向けて、「思索産業」が静かに進行しているという。空気も水も景色もよい一等地は、すでに観光産業よりも、「晴耕雨創型の産業」、つまり保養所・研修施設・研究所などが占領するという潮流があるという。
晴耕は第一次産業で、雨創は第5次産業。晴耕雨創は第1次・第5次産業の合体でもある。今までの近代化という大きな流れは、商工業の突出であった。第2次、第3次産業が異常に突出した。その不均衡を健全に回復しようと晴耕雨創型の産業は今後伸びていき、また晴耕雨創は環境問題の改善のために決定的に重要にもなっていくだろう。晴耕雨創はロマンチックな空想どころか、21世紀のホープとなるライフスタイルだろうと氏は予想されている。
時代は新しい言葉を求めている。「晴耕雨創」「晴耕雨創型の産業」「思索産業」とは大変おもしろいキーワードだと思う。そのような観点から、21世紀の綾部のあり方や21世紀の私たちの生き方等を見つめなおしてみると、新しい発見があり、新しいヴィジョンが生まれるきっかけになるかもしれない。
※ 里山ねっと内「あやべ田舎暮らし情報センター」に上記の本があり、貸出しています。


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13●日本のバルビゾン
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都市部に住んでいた6〜7年ほど前、京都駅前にあるクラフトショップで関範子さん(洋画家・綾部在住)の版画のレターセットに偶然出会った。魂をふるわす関さんの絵とアトリエ夢旅人舎という名前に心ひかれ、帰省した際、上八田町のアトリエ夢旅人舎を訪れた。急な訪問にもかかわらず、温かく迎えてくださり、生き方、暮らし方について、刺激に満ちたお話をたくさんいただいた。
関輝夫さん・範子さんご夫妻が以前からパンフレット等で常にメッセージされてきた「バルビゾン」。最近、ビジョンとしての「バルビゾン」がようやく理解できるようになった。
「日本のバルビゾン、京都・綾部は空気と水のおいしい星のきれいなところで、私は農業をしながら、妻は羊飼いをしながら日々土に親しみ、季節の移ろいの中で制作に励んでいます。バルビゾンは、パリ郊外のフォンテーヌブロウの森の中の村で、その村に住み、農業をしながら、自然やそこで働く人々、動物たちなどの絵を描いたミレー、コロー、テオドール・ルッソーなど。バルビゾン派の画家たちのような生活の中で生まれた油絵、木版画等の作品をぜひ自然の中で鑑賞下さい」(数年前の夢旅人舎パンフレットのメッセージ文より)
過去、このウィークリーメッセージで「バリ島モデル」や「晴耕雨創」について書いたが、「日本のバルビゾン」は可能性をもったビジョンであり、21世紀のライフスタイル(生き方、暮らし方)としても大変おもしろいキーワードだと思う。サステナビリティ(持続可能性)は21世紀の大きなテーマであるが、持続可能な社会や暮らし方を模索すると農は避けられないテーマである。少しでも自然に触れ、農にかかわり、(みんながみんな画家にはなれないが)それぞれの「天の才(天賦の才)」をみんなのために発揮し合う社会をデザインできないだろうか。綾部から発信できないだろうか。
あなたなら21世紀のまちをどんな風にデザインしますか、21世紀のライフスタイルをどう描きますか?
※関さん夫妻については、このホームページで「人の宇宙1」で詳しく紹介しています。
21世紀は農の時代町に緑を、森に音楽ホールを、畑に旅人を木村庄三郎
農都両棲の時代を拓く 内山節ネイチャー・ヴィジョン・コンセプト 浜野 安宏「コンセプトは明確なヴィジョンに裏付けられたものでなければ説得力をもたない。ヴィジョンは学問や論理によって得られるものではなく、肉体や精神の包括的な活動の中から、ごく自然に湧き出てくるものである。肉体と精神の包括的な活動とは、きわめて真面目にニューライフスタイルを実践することである。心から納得いくライフスタイルが見つかるまで、ヴィジョンを求め、コンセプトをつくり、実現しつづけるのである。」(『浜野安宏コンセプトインデックス』浜野安宏著・六曜社・1994年)より『ライフスタイル系』新世紀のキーワード 地産地消のすすめ余計なものはつくらず、物の移動は最小限に地産地消…地元で産した農産物は(できるだけ遠距離輸送せず)できるだけ地元で消費すること。(『農的循環社会への道』篠原 孝 著・創森社・2000年)より


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14● 人生探究の舞台としての綾部
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open country
7月20日(金)〜22日(日)に綾部市鍛治屋町周辺でおこなう「21世紀の生き方、暮らし方を考えるための、あやべ田舎暮らし初級ツアー(夏編)」を数日後に控えた16日、「open country(オープン カントリー)」ということばがふと頭に浮かんだ。
宿泊機能をもたない里山ねっと・あやべ(綾部市里山交流研修センター)が日帰りでない都市との交流(グリーンツーリズム)をおこなおうとすると農家民泊(民家ステイ)のカタチを選択せざるを得ない。大きな施設をつくるにもお金がいるし、建ててもコンセプトが古びてしまうこともある。大型施設を「ないものねだり」していても仕方がない。「地元学」の精神に学び、「あるもの探し」でいこう。
この2月、農家民泊の先進地大分県・安心院(あじむ)町を視察し、その可能性を体感してきた。常時10軒の家庭が、都市住民のために自宅を開く。農業体験(みそづくり、ぶどう栽培など)や創作体験メニュー(草木染めなど)を独自に企画。年間多くの人(都市住民や行政視察、大学の研究者など)が安心院を訪れる。民泊先で家族と食事をとりながら、遅くまで語り合う。学び合い、癒され合いながら、双方が明日へのエネルギーを充電し合っている。土の人(在来の人)と風の人(都市住民)とが出会い、何かが生まれていく。
今回、里山ねっとのツアーでは10軒の民泊受入先を公募した。介護、子育てなど諸条件でなかなか簡単に受け入れてくださる家庭は少ないが、潜在力があると感じた。半日(21日午後)の農作業を各家庭で企画してもらっているが、各家庭がそれぞれ楽しんで「田舎の基本は草刈りだから、草刈り機を体験してもらおう!田の草取りをしてもらおう!」と考えてくださっている。民泊経験によって、「企画力」「都市交流力」「もてなし力」等がめざめていく予感がある。我が家も2〜3人受け入れる予定だ。
21世紀の生き方、暮らし方を考える。それは田舎でも都会でも同じ、いまを生きる人すべてのテーマでもある。「人生探究都市」。それがいまの私の21世紀の綾部のビジョンだ。


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15●行きつけの田舎
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「21世紀の生き方、暮らし方を考えるための、あやべ田舎暮らし初級ツアー(夏編)」がお陰さまで無事終了しました。最終日、気づきや想いを深く共有する場として、シェアリングの時間を設けました。一人ひとり想いを述べているとき、50代の女性の方が「田舎暮らしをしたいという思いがずっとあったけれど、自分には向かないなと思いました。でも、何度も訪れてみたくなりました。そんな私を受け入れてもらえたらうれしいです」と述べられました。事務局から、この2月、大分県の安心院(あじむ)町を視察し、出会ったある素敵なコンセプトを例に、こんなコメントしました。安心院町で「行きつけの田舎」ということばに出会いました。「行きつけ」といえば、普通、お店や飲み屋、パーマ屋さんです。民泊をしてくれたおばあちゃんの笑顔にまた会いたくて、素朴な料理を食べたくて、畳の上で大の字でごろんとなりたくて、田んぼを渡る風を感じたくて、夕暮れのヒグラシの鳴き声を聞きたくて、降ってきそうなたくさんの星と暗闇に、宇宙の神秘やいま生きていることの意味を考えたくて....人はさまざまな理由で「行きつけの田舎」を再訪します。
どうかこのちいさな町を、また訪れてください。あなたの行きつけの田舎になれればうれしいです。ありがとう!

いま、参加者からお礼のはがきや電話が届いています。里山ねっとからも感謝を込めて、メッセージを込めて、ポストカードを今日、投函しました。


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16●21世紀の保健室
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綾部市において、「商工観光系」の情報提供サービス機関はありましたが、「自然・田舎暮らし系」の観点から情報を提供できる専門機関はありませんでした。綾部での田舎暮らしに関心がある人々や「終のすみか」として綾部への移住を考える人々が気軽に立ち寄れ、実際に綾部にUJIターンして暮らす人々と交流・情報交換できる空間として、また「21世紀の生き方、暮らし方」への思索をめぐらし、「里山的生活」や「21世紀のまちづくり」を探究するセンターの必要性を感じていました。事務所内にそんなコーナーを作っていたのですが、2001年夏、ようやく綾部市里山交流研修センター(旧豊里西小学校)内に「あやべ田舎暮らし情報センター」が開設される運びとなりました。
淡路島出身、東京で黒谷和紙に運命的に出会い、紙漉きに魅せられた畑野渡さん(里山ねっと・あやべネットワーカー・向田町在住)の空間プロデュースで、小さな小学校の保健室が、生まれ変わりました。壁には黒谷和紙が貼られ、間伐材を利用した本棚が作られ、古い卓球台がテーブルになり、とても魅力的な空間が誕生しました。
生まれ変わった母校の保健室にたたずんでいたら、「21世紀の保健室」という言葉が浮かんできました。「里山」「サステナビリティ(持続可能性)」「21世紀の生き方、暮らし方」「健やかなるココロ」......。持続可能性を求める私たちの健やかなるこころを応援する空間になれたらうれしいです。
あやべ田舎暮らし情報センターは小さなスペースですが、下記の4つのサービスをおこないます。
●オープンライブラリー・・・田舎暮らし関連書/農業・就農・家庭菜園・農的生活/田舎暮らし・自然な暮らし/里山・自然・環境・エコロジー・ビオトープ/食・自然食・健康/こころ・哲学・生き方/アート・田園クラフト/NPO・まちづくり・市民事業・市民起業・コミュニティビジネス/情報データ(環境団体、里山保全、まちづくり、関連農業...)など市民からの寄贈書2000冊がおかれ、自由にお読みいただけます。●ミニギャラリー・・・綾部在住または綾部にご縁のあるアーティスト、クラフトマンの作品を展示、ミニ個展も開催予定。●情報サービス・・・就農ガイダンスサービス、綾部UIターン者情報(農業、芸術など)、綾部の「売り物件」不動産情報提供、綾部市の「空家物件制度」紹介、様々なイベント等の情報コーナー●里山カフェ・・・セルフサービスでコーヒー、タンポポコーヒーなどお飲みいただけます。くつろぎの、思索の時間をどうぞ(代金はカンパ制です)。
本の搬入を終えるといよいよ完成です。21世紀の保健室にぜひおいでください。


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17●「地元学+自己探求」による「21世紀の地図づくり、まちづくり」
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綾部市の東綾中学校区内に、未来の地域づくりをおこなう人材を育てる「楽学(らくがく)塾」がある。先週、楽学塾のメンバーである高校1年生4名と東綾中の吉田先生が、地域マップづくりを学びに、里山ねっとを訪ねてくださった。
吉田先生にお渡した「とよさとにし つばさがはえるちず」が種となり、メンバーが関心を持ってくれ、自分たちの地域でもぜひ地域マップをつくりたい、地図の制作にあたった高美代子さんに話を聞き、実際、地図を片手に一緒に歩いてみたい、とのことだった。大変うれしい申し入れだったので、早速、学び合いの時間をもたせていただいた。
 山科区に住んでいた高さんに「今までにない、21世紀の地図をつくろう!」と綾部に住み込んでの地図作りをお願いしたときのこと、高さんの地図にかける想い、「つばさがはえる」というコンセプトについて、歩いてみて感じたこと、大事にしたいことなど、思い出しながら、お話しさせていただいた。
いま、あらためて、「つばさがはえるちず」を振り返る。それはいったい何だったのかと。地図の誕生以来、ずっと頭の片隅にある問いだが、ある日、ふとこんな公式が生まれた。
それは「地元学+自分探し(自己探求)」という足し算だ。「風の人」である高さんが中心に動いた地図なので、本義の地元学ではないのかもしれないが、地元学的な要素を持ち、また自己探求的な要素をも持つ地図。その「和」によって、「21世紀の地図の輪郭」を少し描けたのではないかと思っている。
「地元学」は今後、あらゆる分野で地域づくりのベースとなっていくだろうし、「自分探し(自己探求)」の面もさらに大事な観点になっていくだろうと感じている。
全国の優れた地域マップを集め、旧豊里西小学校の教室棟の廊下を、「地域マップギャラリー」にしたいという夢が生まれた。先進地に地図づくり(=まちづくり)を学び、この地を「21世紀の地域マップ」の最先端地に育てていきたいと思う。
※優れた地域マップをお持ちの方、情報をお持ちの方は、事務局までお願いします。


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18●ドラッカーの5つの質問(1)
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現代経営の父と呼ばれ、多くのビジネス書を通じて、世界の企業人にインスピレーションを与え続けてきたピーター・F・ドラッカーは以前から非営利組織に注目をしてきた。1990年、『非営利組織の経営』を出版、同年、「非営利組織のためのドラッカー財団」を創り、のち、画期的な自己評価手法ワークブックを完成させた。1995年にそれは和訳され、以来、日本のNPOにとってもバイブルとして、利用され続けている。
この7月19日、里山ねっと・あやべの設立からまる1年経った。あっという間の1年だったが、時折、原点に還る必要があると感じる。その際、バイブルとして欠かせない本、それがドラッカーの『非営利組織の「自己評価手法」〜参加型マネジメントへのワークブック』(ドラッカー編著・田中弥生訳・ダイヤモンド社・1995年)だ。
国家も地方自治体も、国連のような大きな組織も小さな非営利団体(NPO、NGO)やボランティア団体も原点に還ることが必要なときが必ずある。「われわれの使命は何か?」「われわれの活動はうまくいっているか?」「われわれは正しい方向に向かっているか?」と自問しないといけないときがやってくる。それはビジネスも個人の生き方も同じだろう。ドラッカーは人々の社会的、心理的ニーズを満たし、人々を建設的な目的にむかって結びつけるボランタリーな非営利組織が必要とされ、そのニーズはますます大きくなりつつあり、「焦点の定まった使命と明確な目的をもった組織」が求められているという。「非営利組織はよき意図をもって、よいことをしたいというだけでは十分ではない。成果を上げ、この世に変化をもたらすために存在しているのだ」というドラッカーはいう。そのためには優れたマネジメントが必要である。しかし、非営利組織にはビジネスと違って、業績を計るための利潤というものさしがないので、非営利組織のマネジメントはビジネスより難しい。
非営利組織の運営に当たって、自らの「使命」を定義しなければならない。「優先順位」をどこにおくかを熟慮しなければならない。自分たちが得ようとする「成果」をはっきりさせ、「業績」をどのように測定するのかを明らかにする必要がある。さらに、決して潤沢ではない人材や資金といった「リソース(資源)」をどう配分するか考える必要がある。使命を明確にし、優先順位をつけ、成果を定義し、それを計測し、資源を配分するための手法として、ドラッカーは下記の5つの問いを中心とした非営利組織の自己評価手法を考案した。われわれが生活の向上とコミュニティの構築を望み、使命に忠実で、目的を達成して成果を上げようとするなら、ドラッカーが問いかけている基本的な質問にすべて答えることができなくてはならない。ドラッカーは私たちに下記の5つの質問を投げかける。
1. われわれの使命(仕事)は何か?※使命とは存在理由そのもの。すべては使命から始める。使命は組織が到達すべき最終成果。非営利組織は自分の使命をきちんと定義しないかぎり、失敗するだろうとドラッカーはいう。2.われわれの顧客は誰か?※ドラッカーは非営利組織にビジネス用語を適用している。顧客とは、組織が提供するサービスを受けたり、拒否できる人々、また支持者(ボランティアとして時間を提供する人、寄付をしてくれる人など)3.顧客は何を価値あるものと考えるか?4.われわれの成果は何か?※成果とは、組織がその使命に基づいて達成すべきもの。5.われわれの計画は何か?※組織の使命を定義し、それを具体的な成果に翻訳する。特定市場における、特定の顧客のための、特定の戦略に焦点をあてた、特定の目標、計画をたてる。そのためには数多くの具体的な戦略が必要になる。
来週、さらに詳しく5つの問いを見ていき、それをオープンソース(みんなの財産)化していけたらと思います。
※上記の本の訳者である田中弥生氏がまとめられたドラッカーの5つの質問に関する資料があります。ご希望の方は里山ねっと事務局まで。


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19●ドラッカーの5つの質問(2)
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『非営利組織の「自己評価手法」〜参加型マネジメントへのワークブック』(ピーター・F・ドラッカー編著・ダイヤモンド社・1995)の訳者である田中弥生さんが月刊『論座』(98年7月号)で「NPOを成功させるドラッカーの五つの評価法」という小論を書かれている。読み返すたび、大きな学びをもたらしてくれる貴重な資料で、NPOならずとも様々な分野の知人に配布してきたが、里山ねっと・あやべでも学ぶべきところ大である。
「経営学の神様」として知られるドラッカーは50年前から、非営利組織にかかわり、助言、研究してきた。ドラッカーの非営利組織のための財団は「NPOは企業から学び、企業はNPOから学ぶ」というキャッチフレーズを掲げている。21世紀、行政は両者から学ばないといけないだろう。
NPOにとって、使命はその存在理由そのものであるとドラッカーはいう。下記は、田中さんがまとめられたドラッカーのメッセージだ。
NPOは使命に始まり、使命に終わる。使命によって、サービスの対象、活動目標、方法、そして成果が決まる。組織の使命は焦点が絞られていることが重要である。多くのNPOは焦点を絞るのが不得手であり、様々なことを抱えすぎてエネルギーが分散してしまったために効果が得られないケースは少なくない。使命はシンプルでわかりやすいのがよい。そうすれば、具体的に何をしたらよいのかが明確になるはずだ。使命を決める際のポイントは、自らの組織の長所と短所である。短所を知ることによって、やらないほうがいい分野や活動が見えてくる。逆に長所がわかっていれば、それを生かせるような分野に自らの方向性を見いだしやすい。そして、不得手な活動を中止し、その分の資金や人材、時間を、長所を生かせる活動に充てたほうが得策である。しかし、使命は永遠ではない。社会環境は常に変化しているし、そのニーズも変わる。したがって、NPOは使命を見直す必要がある。使命が終わったと認識したなら、その組織は解散したほうがよい。
ドラッカーは「どんな行動や決断をするにも、またどんな方針を立てるにしても、非営利組織は これをすることによってわれわれの使命遂行能力は向上するかという問いかけをしなくてはならない」とメッセージする。
使命遂行能力は非営利組織だけのものではない。21世紀はあらゆる組織のみならず、あらゆる個人も使命遂行能力が問われる時代になっていくだろう。哲学をもった実践力が新しい時代を拓き、この世に変化をもたらしていく。(続く)


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20●ドラッカーの5つの質問(3)
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ピーター・F・ドラッカーが『非営利組織の「自己評価手法」〜参加型マネジメントへのワークブック』(P・F・ドラッカー編著・ダイヤモンド社・1995)の中で、あらわした5つの基本的な質問、すなわち、1.われわれの使命(仕事)は何か?2.われわれの顧客は誰か?3.顧客は何を価値あるものと考えるか?4.われわれの成果は何か?5.われわれの計画は何か?に答えていくうちに、非営利組織は、その使命を明確にし、顧客が誰で、その顧客が何を価値あるものと考えているかを見出すことができる。同時に、この質問によって、組織があまりうまく機能していない分野がはっきりし、ある箇所については再編成し、焦点を絞り直し、また、今まで行なってきた活動のどれかを切り捨てる手助けをすることになるという。 今回は「われわれの顧客は誰か?」について、みていきたい。ドラッカーは非営利組織の分野に、それまでの「受益者」(何がしかの恩恵を受ける人々のこと)という考え方から、ビジネス用語である「顧客」という考え方をあえて導入した。この十数年、ビジネスの世界では「CS(顧客満足)」が謳われてきた。顧客の満足がビジネスの成功には不可欠と言ういまでは当たり前のことだが、非営利の世界でも顧客満足という新しい競争(非営利間、対企業間など)にさらされていく。非営利組織もビジネスと同じように、顧客がそのサービスを欲するようにしなければならない。寄付者も、ボランティアも、またサービスを受ける人々も、その非営利組織の活動を重要だと感じていなければならない。 ドラッカーはさらに顧客について、たくさんのチェック項目(ワークシート)を用意している。
「サービスを提供しているさまざまな人々、すなわち満足を与えなければならない第一の顧客は誰か、列挙せよ」「これらの顧客に、われわれはどんな価値を提供するのか」「※われわれの長所、能力および資源は顧客のニーズにマッチしているか?もしそうなら、どのように?そうでないなら、なぜか?」「支援してくれる顧客(ボランティア)は誰か」「これらの顧客に、われわれはどんな価値を提供するのか」「顧客は変化したか」「新たな顧客を加えるべきか、もしくは削るべきか?」「新たな便益を提供するために、われわれはどんな特別な能力をもっているか?」「現在、組織がもはやサービスを提供しなくてよいものがあるか?」「それはなぜか?ニーズが変化したのか?われわれの資源があまりに限られているのか?他の組織のほうがより効果的なのか?彼らのニーズがわれわれの使命にあっていないのか?われわれの能力のせいか?」など、ドラッカーは私たちに問いかける。
先日、25〜26日、里山ねっと主催の「パン窯づくり教室」がおこなわれ、早々に定員がうまる盛況で、都市部から、また綾部、舞鶴、福知山から、20数名の参加者がこの地を訪れてくださった。またボランティアスタッフも人気で多くの方に手をあげていただき、雨中、お手伝いいただいた。
里山ねっとの「使命」を意味あるものと思う人々が誰で、里山ねっと・あやべの組織の「能力や資源」がどこで、顧客グループの「ニーズ」とマッチするのか。私たちはそれらを知る必要がある。今回の事業はあらためて、顧客とは誰かを考えるよい機会だったのだが、上記の問いを、真摯に答えていこうと思う。

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※このコーナーでは週一回、里山ねっと・あやべからのメッセージをお送りします。
ぜひご意見をお聞かせください。(事務局 塩見直紀)


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