ayabe: 2010年8月アーカイブ

7月20日に綾部市と舞鶴市をまたぐ登尾峠にある石碑の拓本をとる会がありました。

この拓本は綾部市内各地の石碑のものと合わせて、9月25日~27日にアスパBホールで行われるパネル・写真展<不思議の国・志賀の里へようこそ>で展示される予定で、この夏に里山ねっとで受け入れる大学生の合宿で峠を越える予定もあるので、下見も兼ねて参加してきました。志賀郷の九つの峠を歩いて調べる会さんで看板を立てられたり、道が整備されていたので、お陰さまで昨年学生と登った時よりも通行しやすくなっていました。

普段土器などで同種の作業をやられている綾部資料館の三好博喜さんにお手本をとっていただき、事前にお墓で練習して来られた志賀郷に桜を育てる会の広沢副会長、志賀郷の九つの峠を歩いて調べる会の倉橋会長で合計3枚とりました。

早朝に出発したときに停車した車は、下山した時にはすっかり日に当たり熱くなっていました。この日は、大暑を前にとても暑い日でしたが、峠道はもちろんのこと石碑のある尾根も木陰のおかげで、下界の暑さを知らずに半日を過ごしました。文字通りお陰様でした。


拓本を取っている間、中国の「楓橋夜泊」の拓本を家に飾っているという話から、みやげ物の拓本は色が濃い、拓本にすることを考えると石碑を作るのは大事だという話を聞きながら、「one-off」という言葉が思い出せずネット検索した(入山口は電波が届かないが、山頂付近はアンテナ3本)。「ワンオフ」で検索すると、wikipediaにあるように、和製英語として手作りや一品物という意味で、高級なイメージの言葉です。一方「one-off」で調べますと、そもそもの語源は、金型を作る仕事からきているのですが、和製英語の「ワンオフ」がもつイメージとは違っていました。(one-off/wiktionary)

英語で「one-off」とは「一回限り」の意味で、再利用可能な金型を作るのは高価であるために、やっつけで作る(?)ようなことを指し、どちらかというと低級なイメージの言葉です。普段から金型や石碑をつくるように、後々の人が便利になるよう、丁寧な仕事ができればなあと考えて、そういうのをうまく表現する言葉がないかと思ったのですが、間違った意味で覚えていました。

google 画像検索で「道標」と検索すると石碑が多く出てきますが、「europe signpost」と検索すると石碑は出てきません(*1)。ヨーロッパの古い道標はほとんど木製でしょうか。one-offの仕事と言えるかもしれません。一方で日本の古の人たちは、山奥まで重たい石を担ぎ、後々の人の為に丁寧な仕事をしてきたんだと思うと、使われなくなった多くの峠に残る多くの石碑達に思いが募ります。お陰様です。(マエダ)


*1検索結果は変化します。ヨーロッパに石碑が全くないことを示すものではありません。

晴れた日の夕方、急に驟雨が来て虹がかかる。

そのような時に限ってカメラを持っていない。

大切な瞬間を記録することができず、なすすべなく立ち尽くしていると、

鈍感な人間でも、胸がかきむしられるような思いがするものです。

あるいは銀色に輝く雪の朝や、夢のような茜色に染まった夕焼け。

しかし仕事で急いでいるので、自動車を止めることもできず走り続ける。

永遠に記憶にとどめ、保存したい情景に限って、一瞬で失われ、二度と帰らない。

ああ、これは二度と見られないなあという「甘くて苦い諦め」です。

老人の昔話を聞くときもそうです。

ちょっとした畑仕事のこつや、伝統料理の以外な作り方。

昔の祭りのエピソードや、その老人だけが覚えているような民謡。

そのような話を聞いているとそれを全て記録して保存したいのですが、

そういうときに限って、レコーダーを持っていない。

あるいは持っていても、却って話の流れに水をさすような気がして、迷いが生じて出せない。

話自体はすばらしいのに、聞いている側にはビターな悔恨。

甘美な諦めなどとは言っていられない、胸がかきむしられるような瞬間です。

一体いままでどれだけの貴重な昔語りを、右から左へ、宙に消えるままにしてきたことか。

一方で、偶然にうまく行く時もあります。

何気なくカメラを回して静止させていたらその前を鳥が横切るとか、

撮影済みの映像にBGMをかぶせたら偶然、

場面転換とぴったり合った転調や変奏、展開部と重なるとか。

このように意図しない僥倖もあれば悔恨もあります。

それは世の常というか、表裏一体の事柄かもしれません。

そこを何とか、悔恨だけはないようにしたいのですが。

極端な考えは、世界の全ての情報を保存できるビデオカメラのようなもので、

それをハードディスクにためていくようなことですが、

いったい何バイトあったらいいのか想像もつきません。

とあえずカメラやレコーダーを常時携行しよう、そして

遠慮やためらいに打ち勝ってそれを使おうという月並みな結論でしょうか。

二度と帰らない風景や記憶をかたちにとどめること。

永遠の課題です。(あさくら)

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