ayabe: 2009年1月アーカイブ

・歴史の授業で経済史や法制史や政治史にかかわることを「単語として」教えられても、その「意味」は明示的には教えられず、あとで「なんだそういうことか、最初から意味や文脈を教えてよ」と思うケースは多々あります。

・理科の授業では波動が出てきて、波に関する計算は習います。でもなぜ波の議論が必要なのかという意味は? 音や光や電波の利用は現代社会において事実上不可欠ということもありますし、光は粒子か波動かという議論などを通じて、物理学史の興味深い流れを知ることもできるはずだけどなと思います。

・統計や確率もそうで、ありうるパターンの総数を数えてみたりという基本的な計算技術は習いますが、サンプルから全体を推定するとか、傾向から未来を予測するためにそれが必要であるという意味とか、リスクや事故について考えるにも確率が必要とか、色々な必要性があるのであれば最初から教えてほしいな、と。あるいは最初から教えられていたのにこちらが気づかなかったのかしらん。

・前置きが長いですが、ともかく齢を重ねれば重ねるほど、人の生というのは確定的な因果関係に沿って動いているというよりは確率的なものだなという感じがしてきませんか。自分の生は確率の雲のようなものでできていて、その潜在的な可能性の一部分が確率的に実現しているのが実際の生であると。

・テストの合否ライン上に多人数の集団がある場合、合否を決めるのは採点上の誤差の範囲の違いだったりするかもしれません。でも合否はオールオアナッシングで決まります。あるいは野球のバッターの評価は、「いざという時に強い」などの要素もありますが、一般的には打率という確率で考えます。これはどんな名手でも三割とかで、四割はまず越えません。つまり母数が増えるほど大体同じあたりに落ち着いてきます。野球の選手が練習をしているのは、どういう投球に対してどういう打ち方をするかという確定的な要素もあるでしょうが、全体としては確率を高めるために練習しているものだと思います。違うかな。でも不思議なことに全員ではないにしてもある部分の打者は確率を高めることに成功しています。

・仕事でも、確定的な因果関係では不要に見えることでも、勘に従って手を打っておくと、思いがけず役に立つことがあります。あるいは当たり外れがわからないことでも、黙っていれば何もなかったのと同じですが、発言しておけばあとで、先見の明があったということになったり。もちろん逆のパターンもあるのですが。

・ともかく人間の生は多様でありうる。「ラストエンペラー」は皇帝であり、捕虜であり、庭師であり、映画の最後ではコオロギに象徴されていました。ここにはメタモルフォーゼ(転生)というテーマが打ち出されていますが、時系列的にでなく現時点での同時態として、別の自分がどこかで違う生を生きているという考え方はあってよい。

・確率としての生をいきているという自覚からうまれるのが、お互い様という感覚でありシンパシー(共感)であってほしい。人生は入れ替え可能であり個々の生は確率的に異なっているだけであるとすれば、今は困っていない人もいつ困ったことになるかわからないからです。今の労働をめぐる状況にはこの感覚が決定的に欠けているのかもしれません。キーワードは「立場可換の想像力」。
http://www.miyadai.com/index.php?itemid=98

・以前、「田舎暮らしを選ぶということも、実は文脈を選んでいるのです。田舎という場所に暮らすだけなら、もともと多くの人が住んでいます。そうではなく自分で選択した生き方をするということ。それを選んでいるのです」と書いてみました。
http://www.satoyama.gr.jp/mt/weekly/2008/11/post-22.html

・選ぶことを選ぶ。でもどれだけ選べるか。半分は確定的に選べますが、残り半分は確率的かもしれない。でもバットを振らなければ打率はゼロ。収穫は天候次第ですがともかく種を播きましょうと。もちろんそのためにも、試行錯誤を可能とするような(エラーでおしまいとならないような)クッションが必要なので、人間社会がこんなにクッションのない状態になってしまったら、あとは先人がいったん開拓し、現代人がそれを荒らしてしまった自然の包容力・再生産能力をふたたび開拓して、扶養力を取り戻していくことも考えねば、というようなことも思います。

・人生は確率であるという感覚、確率を高めるために何かできることがあるという感覚。田舎の風光のなかに立ってそんな感覚が芽生えてこないかな、なんてことをちょっと考えました。(あさくら)

大失業時代と農業

| | コメント(0)

今週の日本の国会では定額給付金の話題が議論されていましたが、先週イギリスのブラウン首相は5億ポンド(679億円)の雇用対策を発表しました。これまで短期的政策として13億ポンド(1,767億円)の予算で、ジョブ・センターの六千箇所の設置してきたことに加え、長期的な政策として失業者を雇用したものに対するインセンティブを設けるというもの(参考)。

これらイギリス政府の急速な失業対策確立に呼応して、企業側にも、あらたな動きが出てきた。Vauxhall自動車では、既存の賃金体系、労働時間体系を見直した上で、Ellesmere Port,Cheshire,Lutonの三工場で、五千人の雇用をすると発表した。また、スーパーマーケット大手のMorrisons は、5,000人の新規雇用を発表した。(Sasayama's Weblog - 2009/1/12

また、オバマ米次期大統領は、グリーン・ニューディールとも言える政策を発表しました。今後10年で約15兆円をクリーンエネルギーに投資するいうもので、以下のような目標を示されています(参考)。

  • 500万人の雇用を生む
  • 2015年までに100万台のハイブリッド車を走らせる。
  • 風力や太陽光、次世代のバイオ燃料による自然エネルギー電力を2012年までに10%、2025年までに25%を達成する。
  • 温室効果ガスを2050年までに1990年比で80%削減する。
  • 輸入石油を減らす。
  • (ecool - 2009/1/20)

不況政策というくくりで単純に比較できませんが定額給付金の総額2兆円規模といわれる予算がいかに大きいかが分かります。

今年に入りまして、農水省は全国の農業法人等の緊急求人情報をまとめ(参考)、求人数は1810人(参考)で、各地では就農相談会が盛況だそうです

雇用のてこ入れは必要ですが、農業の担い手不足は近年ずっと課題であり続けた一方で、日本の失業者は平成15年の357万人をピークに上がり続けていました。この5年は減少傾向で平成20年の総務省の調べでは256万人でした(参考:エクセルファイル)。今年100万人増えたとしても、5年前の水準です。失業者が増えたから人手不足が深刻な農業分野への再就職と簡単にはいかないでしょう。

雇用対策で就農相談会、現場には戸惑いも 福岡(朝日新聞 - 2009年1月7日)

当の農業関係者からは「農業の基盤そのものが弱まっているのに、失業者の受け皿になるゆとりがあるのか」と戸惑いの声が上がる。 (中略)福岡県大木町の農事組合法人「きのこの里」の水落重喜理事長は「確かに農家の人手は不足している」と話すが、一方で「高い給料は出せない。都会で年に500万円の所得を得ていた人が、200万円でもいいと言うだろうか」と疑問を示す。(中略)JA福岡中央会は「肥料や原油の高騰でコストがかかるなかで、再就職を希望する人を雇う余裕はないのでは」と指摘する。(中略)水落理事長は「きちんと受け入れられるように、農業自体の基盤が強くなるような政策が必要」と注文している。(朝日新聞 - 2009年1月7日)

農水省は先月「新たな食料・農業・農村基本計画の策定に向けて~我が国の食料自給力・自給率の向上~」を発表しました。食料自給率50%のイメージを提示し、国民からの御意見・御要望の募集し、この1年徹底的に議論し、成案を得るとしています。また、今年度の補正予算では「田舎で働き隊」(農村活性化人材育成派遣支援モデル事業)の公募を始めました。

農村の活性化には、それを担う人材が必要となるが、高等教育機関や安定した就業の場が少ないことなどから、農村では青年層を中心に都市部への人口流出などが進み、活性化の担い手となる人材が不足している。 一方、都市住民の間では農村への関心が高まっており、また、都市住民が農村と協働して農村活性化に向けた取組に携わり、外部の者ならではの「気付き」をきっかけとして、農村の活性化が進展している事例も見られる。 このように、都市と農村の協働は、農村の活性化を図る上で有効な手段の一つであると考えられるが、その推進のためには、農村と都市部等の人材をつなぐ有効かつ汎用性の高い仕組みの存在が必要である。(参考:PDFファイル)

里山ねっとでは都市農村交流事業を行い、就農や移住に関する相談を受けておりますが、商工業が厳しい以上に農業もまた厳しいです。就業先のひとつの選択肢として農業を選ぶこともあってしかるべきですが、必ずしも門戸が広いというわけではありません。就農にあたり問われるのは農業がやりたいかどうかだと思います。農のあるライフスタイルには魅力もあふれていますが、仕事としてみると自然を相手に困難な面もあります。2月に行います綾部里山交流大学では、合鴨農法を確立した古野さん、休耕地の活用で起業した西辻さん、大和伝統野菜を研究・栽培し、レストラン「粟」を立ち上げた三浦さんなどを講師としてお招きします。講師の皆さんもまた数々の困難を乗り越えてこられたのではないでしょうか。そこに政策に反映させるべき現場の実際や、就農希望者に求められる精神があると思います。(マエダ)


「3つのクエスト」

里山ねっと・あやべのホームページを
立ち上げたのは2001年の3月の頃でした。

ホームページも数年も経つと
内容もだんだん増え、わかりづらくなっていきます。

ホームページを整理していて、見えてきたのが

「3つのクエスト」という考え方でした。

クエストとは「探索」「探求(物)」。

簡単にいえば、「~とは何?」と探すことです。

ホームページを見に来てくださった方に

結局、3つの「~とは何?」という問いに
応えないといけない

ということが見えてきたのです。

1つ目のクエストは

「里山ねっと・あやべとは何?」です。

里山ねっと・あやべのミッションは?とか
事業内容は?とか、メンバー構成は?
スタッフはどんな人?という問いです。

2つ目のクエストは

「綾部とは何?」です。

綾部とはどんなところ?
何が有名?何がおいしい?
どんな人が田舎暮らししている?

綾部のことを知りたい人も
多いように感じたからです。

3つ目のクエストは

「自分とは何?」です。

たとえば、

田舎暮らしや農的生活を望んでいるけれど
何かサポートしてくれますか?

農業について学びたいけれど
体験できることって何かありますか?

綾部にいい空き家ありますか?

という問いです。

農的、里山的な未来づくりの応援事業ですね。

「3つのクエスト」で構築しなおして
また月日が経ちました。

じっくり見つめていれば、
第4のクエストが見えてくるのかもしれません。

でも、

もう新鮮な切り口はぼくには無理そうなので
ここは若い面々に期待したいところです。

(文・塩見 直紀)

『ストップ温暖化「一村一品」大作戦 全国大会』というのがあるんですね。

環境エネルギー政策研究所メールマガジン2008年11月15日号所収の長谷川公一氏「光と風と樹々と」に、同大会「2008」の紹介がありました。
http://archive.mag2.com/0000114817/20081117190000000.html

「もっとも印象的で感動的だったのは、地域のネガティブな条件を克服しよう、負の難題と向き合って、それを逆手にとって、地域起こしや環境都市づくりをめざそうという取組である。」(上掲)

豪雪地帯である北海道の沼田町は、雪を資源に変えました。
雪を利用した「電気のいらない冷蔵庫」で保存した米を「雪中米」として出荷しています。
http://www.jccca.org/daisakusen/area/hokkaido/

「琵琶湖の汚染を契機とする滋賀県の菜の花プロジェクト」。
http://www.jccca.org/daisakusen/area/shiga/
合成洗剤の反省に立って、廃食用油を回収し石けんにするだけでなく、菜の花も活用しつつ燃料を生み出し、循環型社会をつくる。

菜の花プロジェクトの藤井絢子さんは2009年2月の綾部里山交流大学「すべての人が社会企業家になる時代に向けて」でお招きしています。

このほかにも各地でいろいろなとりくみがあるんですね。
http://www.jccca.org/daisakusen/shokaisasshi.html

最優秀賞を得たのは、木材の地産地消により「ウッドマイレージ」を減らす北桑田高校(森林リサーチ科)の取り組みでした。綾部の近くです。
http://www.jccca.org/daisakusen/area/kyoto/
http://www.jccca.org/daisakusen/grandprix.html

現代農業増刊2009年2月『金融危機を希望に転じる』では金子勝氏が"環境エネルギー革命"の不可欠性を論じています。(金子/デウィット『環境エネルギー革命』アスペクト も参照)

雇用にも環境にも深刻な問題が厳然としてある今だからこそ、アレックス・カー『犬と鬼』(講談社)に描かれるような旧来型の開発でなく、"環境エネルギー革命"を。

この欧州の常識に近づきうる位置にあるのが、むしろ綾部のような周縁地域であればいいのに。

足元に井戸を掘ったら、ストンとワープして欧州に通じていました、のようなイメージです。

ネガティブな条件を資源に変える道はまだまだあるはずですよね。
http://www.satoyama.gr.jp/mt/weekly/2008/08/post-13.html

(あさくら)

このアーカイブについて

このページには、ayabe2009年1月に書いたブログ記事が含まれています。

前のアーカイブはayabe: 2008年12月です。

次のアーカイブはayabe: 2009年2月です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。

Powered by Movable Type 4.0