意図せざる結果を意図すること(Weekly Message 2010.5.25)
瓢箪から駒を狙う。
「瓢箪から駒」というのは、狙っていないことが起きることですから、瓢箪から駒を狙うというのは形容矛盾にも思えます。
しかし瓢箪から駒ということはあるなあ、と思いました。
MBC(南日本放送)が制作したテレビ番組のDVD「やねだん~人口300人、ボーナスが出る集落~」を見たのです。
http://www.mbc.co.jp/tv/yanedan/
鹿屋市柳谷(やねだん)地区は豊重哲郎さんをリーダーとして地域再生にいどみます。
「柳谷集落がめざしたのは「行政に頼らない地域再生」。集落総参加で労力や経験を提供しあい、土着菌を使った土作りやオリジナル焼酎づくりなど、独自の商品開発で自主財源を増やしたほか、住民の工夫で福祉や教育も自ら充実させていった。そして自主財源はみるみる増え、すべての世帯にボーナスが配られるほどになる。その画期的な取り組みから、柳谷集落の愛称「やねだん」は、次第に全国に知られるように・・・。」
(上記MBCのWEBより)
これはもちろん画期的なことですが一番うえで瓢箪から駒と書いたことについて、自主財源が増えたこと自体は目的に含まれていたはずなので、注目したいのはむしろアーティストを呼んだことですね。
空家を「迎賓館」に改造し、全国から「アーチスト」を公募する。
そして実際、全国から画家や写真家が集まってくる。
なぜ「アーチスト」たちを招いたか。
番組のなかで語られているのは、文化が大切ということです。
しかしDVDをみてみるとわかりますが、「アーチスト」たちが果たしている役割は単に文化水準を高めるとか教養をつけるといったことではない。
地域再生に不可欠な「シンボル作り」「アーカイヴ記録」「広報係」といった本質的な機能を果たしているのです。
画家が、村の施設や特産品のために、太陽をかたどったシンボルマークをつくる。
写真家が、村人たちの一番いい笑顔を撮影して記録していく。
シンボルマークや写真は複製可能ですから、焼酎や土着菌とあいまって、やねだんの表象が村の外へどんどん広まっていく。
このうえにビデオジャーナリストがいたら最高ですが、その役割はMBCの「やねだん~人口300人、ボーナスが出る集落~」制作スタッフが果たしてくれました。
このようにして、「アーチスト」たちは創造・記録・広報という機能を果たしていく。それがDVDを見ていると如実にわかりました。
このように文化という当初の目的を超えて、実質的な「機能」を果たしていくことを瓢箪から駒と書いてきたわけですが、実は最初からそれを狙っていたのかも。
だとしたらすみませんでした、となります。釈迦の掌といったところでしょうか。
「やねだん」では村内放送にも力を入れているでしょう。情報の持つ力を大切にしているのだなあということがわかります。
徳島県上勝町で起きたことも同じような好循環の事例かと思います。
葉っぱを特産品にする。
すると高齢者の知識が活かされ、活躍の場ができる。
葉の受注FAXのために通信網が整備され、地域のコミュニケーションの可能性も高める。
お金に余裕ができる。
高齢者が元気なので医療費や介護費がかからなくなる。
そしてますますお金に余裕ができる。
若者も戻ってくる。
細部で違いがあるかもしれませんが、好循環の連鎖ということは確かかと思います。
当事者にとっても予想以上だった波及効果もありうることでしょうが、そうした波及効果の発生を含めて、狙っていく。
瓢箪と馬とどちらが大きいですか。
どう考えても馬のほうが瓢箪より大きいでしょう。
でも小さなもののなかに無限に大きな可能性が詰まっているいう意味では、十分にありうること。
ここでの瓢箪から駒の意味は、波及効果は大きいなあということです。想定外のことが起きるというより、雪だるま式に因果関係がふくらむということですね。
やはり瓢箪を放置しない、瓢箪を振ってみることだなあと。そんな結論でした。
(あさくら)
里山ねっと・あやべ 設立10周年記念シンポジウムのゲストはこの「やねだん」地区の豊重哲郎さんです
http://www.satoyama.gr.jp/topix/2010/05/-102010620.html
