組織、共同体、あるいは持続可能な活動その3

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1990年代だろうか、日本のODAに対する批判として、ひも付き援助(日本の企業に発注される事)の指摘がなされた。しかしながら、医者、用水路を拓く-アフガンの大地から世界の虚構に挑む医者井戸を掘る―アフガン旱魃との闘い(2001年中村哲著)を読むと、欧米のODAもまた、特定の欧米のNGOにひも付きされ、PMS(ペシャワール会医療サービス)に立ちはだかっていた。彼は国際NGOを国際官僚機構とも呼んでいた。

国会審議で参考人としてアフガンへの自衛隊派遣を「有害無益」と発言して話題となった中村哲氏は医師でありPMSも医療チームであったが、なぜ「とにかく生きておれ。病気は後で治す」と言って井戸を掘り始めたのか。

アフガンでは長く外国からの侵攻や内乱などの戦乱で疲弊している所に近年からずっと旱魃が続いており村を離れたりで避難民や国内を流浪する民が続出した。それに追い打ちをかけるようの西側が主導する国連の経済制裁が始まり食料や資材は益々窮乏し、また赤痢やコレラなどの病気が蔓延していった(医者、用水路を拓く医者井戸を掘る

感染症の患者が押し寄せる事に危機を覚え、アフガン人700人を指揮して1000の井戸を作った。そんな中アフガン人の作業員が殉職し、中村氏はおくやみに親を訪ねるとこう言われた。

「こんなところに自ら入って助けてくれる外国人はいませんでした。息子はあなたたちと共に働き、村を救う仕事で死んだのですから、本望です。全てはアッラーの御心です。」
「バラバーグ村には、大昔から井戸がなかったのです。皆汚い川の水を飲み、わずかな小川だけが命綱でした。私も子供の頃の仕事は、ここから二里ほどはなれた泉に飲み水を取りに行くことでした。水袋3本をロバの背に乗せて往復半日かかりました。ところが、そのうちの一袋は自分とロバで飲んでなくなり、一袋は途中で旅人に分けて無くなり、家に持ち帰るのは僅か一袋の水だったのです。」
「昨年の夏、その泉が涸れ果て、小川の水も尽きた時、ほとんどの村人は村を捨てることを考えました。バラバーグでは井戸はでないと大昔から皆信じていました。GAA(ドイツ―アフガン救援団)のボーリング井戸が一本ありましたが、五千人を養うことは不可能でした。それさえも涸れたとき、あなたたちが現れたのです。しかも一つ二つではなく・・・・・。人も家畜も助かりました。これは神の奇跡です。」(医者、用水路を拓く医者井戸を掘る

この時、PMSはバラバーグ村で13か所で井戸を掘り8か所で水を確保していた。GAAの7基のボーリングは何れも失敗に終わり、PMSの手堀りだけが最終的に成功を収めていた。その13か所の作業場でPMSのスタッフとアフガンの人とはどのような連携があったのだろうか。本書の巻末にある蓮岡修氏の「現地報告」では「現地での活動は、日本人が主体になってやらねばならない」とある。

「現地で活動する国連を含めた他のNGOを見てみると、必ずアフガン人の代表者が取り仕切っており、外国人の仕事はその報告を処理しているだけであった。仕事の関係上、駐在するスタッフに会うことが多かったが、彼らは大まかな活動は把握しているものの、スタッフ一人一人の性格や、村々の位置やそこの長老の名前、物の質や値段など、活動を進める上で知っておかなければならない事に注意を払っている様子はなかった。このような現地人主体で進められている欧米系の大きなNGOで、100パーセントその能力を発揮している所はまず無かった。(医者、用水路を拓く医者井戸を掘る

ここで持続性について思ったのは「魚を与えるより釣り方を教える」「井戸を与えるよりも井戸の掘り方を教える」といった単純なこと以上に、現地活動を行う者が主体となる事さらには「活動する」という姿勢を示し続ける事の必要性である。

クリントン前大統領がアフガニスタンとスーダンに巡航ミサイルを撃ち込んだ際にも、略奪がありました。ほとんどのNGOや外国人が逃げ出し、「どうせ戻らないのであれば・・・」と貧しい人々が備品を奪って生活のために売り払ってしまったのです。我々の事務所が略奪されなかったのは、何があっても活動を継続するという姿勢を示し続けたためでした。(ペシャワール会ホームページより)

(マエダ)

追記

引用した本のタイトルが間違っていたのを修正しました。PMSはその後、農業復興のため用水路を作り始め、間違って紹介した本は、用水路作りをまとめた本のタイトルでした。

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このページは、ayabeが2010年2月23日 21:55に書いたブログ記事です。

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