セーフティーネットはインターネットのかたちをしているか(Vol.399--2009.10.6)

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人生を転換(コンバート)して就農しようとする場合、リスクもつきまとうわけですが、それに対してどんなセーフティーネットを張ることができるでしょうか。

生産した農作物を売るというのが就農後のメインとなる位置づけの交換形態とすれば、インターネットによる交換はすこし違う形態です。

人間は24時間働きつづけることはどうしても困難ですが、WEBサーバーはメンテナンスやトラブルを除けば24時間労働であり、しかも複数(多数)のリクエストを処理できるので、人間とは異なる働き方をしてくれます。

人間には睡眠や病気があり自然には雨や雪や春夏秋冬があり、農作物の交換には物理的、時間的、距離的限界がともなうわけですが、インターネットの情報は時間や空間を越えるかのように(越えませんが何となくそんな感じで)振る舞ってくれますので、波と波とが合成するようにリスクを緩和してくれないか。

農産物をインターネットで売るというのは直接的な交換ですが、在庫がなくなったらそれまでです。

人参は、少なくともそれ自体としては食べてしまえば無くなるので、複製可能ではありませんが、情報は複製可能です。そこでインターネットの出番かもということになります。

綾部里山交流大学でもお世話になっているライターの今一生さん
http://www.satoyama.gr.jp/topix/2009/07/200911.html
は、扶桑社新書『親よりかせぐネオニート』(2007)で、WEBを通じて新しい稼ぎ方を開拓した若者たちを紹介し、「徹底的にネオニートを肯定」(p.30)しました。

ネットだけで生活できるようになった若者たちが紹介されていますが、必ずしもネットだけで生活しようとする必要はないので、補助的でもいいのではないか。

「雑誌での連載原稿や講演録などを電子出版のサイトで有料ダウンロードできるようにアップしておくだけで小遣い程度にはなるだろう」(99頁)というように、小遣い程度という考え方も可能です。

農業の稼ぎは割と瞬間的です。一方で現代の生活は、常に回り続けている電気メーターを見ているとよくわかりますが、定常的にお金が出ていくようになってしまっています。それで、常に回り続けている電気メーターのようにお金が入ってくるようなしくみがないかなあということになります。

もちろんネットも携帯も電気も極力使わない生き方のほうが正当ですので、そこは選択可能にしておけばよいと考えます。地域整備の考え方としては、ネットを選択したい移住者は選択することが可能であるように、インフラ整備をしておくべきでしょう。

むろん、アフィリエイトやWEB広告で稼ぐ!という種類の書籍には、誰々がこんなに稼ぎましたというバラ色の展開が記されているものの、必ずしも絵に描いたような展開にはならない。

ですので、ネット自体が画期的に貯金を増やしたりすることはなかなかない。

ネットでの収入はいわば薄利多売型が多く、トラフィックを稼ぐ必要があります。是非は別として現代世界は英語人口が多いですので、英語でなく日本語でネットをしている時点でかなりマーケットが小さくなっています。そのうえでさらにローカルな現場でのとりくみを日本語でWEBに書くとトラフィックはかなり小さくなるかもしれません。

それでもインターネットにセーフティーネットとしての意味を見いだしたいわけですが、貨幣面での議論以外にが、むしろ貨幣以外の面の機能はどうでしょう。

WEBで何かしら情報をかたちにしていくことで、見えないインフラ、透明なネットワークが形成される。

お金としてのCapitalでなくSocial Capital(社会関係資本)が形成される。

あの人ならブログを読んだので知ってる、とか。

そういう意味での資本形成です。

セーフティーネットはインターネットのかたちをしていない時もあるけどしてる時もある。

貨幣面での直接効果はよくわかりませんが、間接効果、波及効果はまだ測定され尽くしていないので、ブログを開設したりすることは案外、予想以上に効いているのではないかという気もします。

ケインズが生きていた時代にWEBはなかったわけですが、WEB上に自分の世界をもつことの乗数効果はいくつくらいでしょう。

そんな意味でも、WEBを持つことが耕耘や草刈と同じくらい基本作業になる可能性があると思ったりするわけです。

もちろんこれは或る一方向を向いた議論ですので、別の議論も歓迎です。(あさくら)

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このページは、ayabeが2009年10月 6日 00:51に書いたブログ記事です。

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