2009年6月アーカイブ
「土を拾う」
今年も好きな光景に出会うことができました。
近所の70代の女性が
道に落ちた土を拾う光景です。
トラクターなどの機械に土がつき、
帰路の途中、土が道路に落ちたりします。
昔から、鍬や長靴などについた土は
大事にされ、田畑に返されました。
鍬が大型機械になっても
こころは同じ。
その方々のうしろ姿を見て、ぼくはそう思うのです。
土が本来あるべきところに返します。
土の神さまの存在を感じ、もとの位置に返っていただきます。
大事にしない人は不作となるかもしれません。
土を拾う。
それはとっても美しい行為です。
ぼくもいつまでもそのこころをなくしませんように。
(文・塩見 直紀)
朝日新聞で連載されている「ニッポン人脈記」。写真家の白川義員氏に関する記事に、こうありました。
......2013年に出す写真集「永遠の日本」のため、いま国内を歩く。白川は苦しんでいる。国立公園の中に、平然とホテルが立ち並ぶ日本の現状をみて思うのだ。「収録したい風景がない」......
(朝日新聞2009年6月13日)
日本文化論では、日本人は和を尊び、自然を対立的に見ず大切にするということになっています。
古典的な文献からそのようなフレーズをとりだすことはできるのかもしれませんが、それは物事の半面で、ヨーロッパではありえないような景観破壊(アレックス・カー『犬と鬼』が指摘するような)を続け、国土をセメント漬けにしてきたのも日本人です。
ともかく古都でも田園でもカメラを構えてみるとほぼ間違いなく電柱や電線が構図の中に入ってきます。
慣れは怖いものですが、外国の人々からみれば日本人は相当、景観を大切にしない人々とうつっているに違いありません。
ここまでくると、電線を地中化すること自体がまた大工事になってしまいます。
電化を際限なく進めることは問題ですが、どうせなら最初から地中化しておいたほうがよかったなあということになります。
水田の圃場整備では、多くの自然河川が縦横直角のコンクリート水路に姿を変えました。
そうすると水田の機械化効率を最大化できますが、一方で降雨時に水が走りますし、水辺の生態系も失われてしまいます。
それで再度、近自然工法で水路を造り替えたくなるのですが、いちど大出費をして圃場整備をしていますので、近自然工法で作り直す余裕はなかなかありません。
だったら最初からもう一工夫して、近自然工法による圃場整備をしていればよかったのではないか。
でも血のにじむような努力をしてようやく圃場整備自体ができたので、当時は仕方なかった......。
悩みの深い話です。
でも電線にしても水路にしても、最低限の投資が10として、後で20の投資があらためて必要になってしまうよりは、最初から12の投資をしたほうがよいのではないか。
家の改造工事をしたら、あと一息がんばって薪ボイラーや太陽パネルもつけよう、みたいな。
アメリカでニューディールの対象が「ダム」から「グリーン」になったのは象徴的なので、今後は公共事業といっても一過性の景気対策でなく、先を見据えたことが必要なわけでしょう。
2が5個集まったら10ですが、8を10にするための2より10を12にするための2のほうが重要。
10の投資ではあとでまた追加で10必要になるかもしれませんが、いま12投資しておけば、あとで10を20にしなくてすむので、12から20への追加の8をセーブできるからです。
(あさくら)
綾部市里山交流研修センターの体育館は雨漏りしていましたが、先月から屋根の修理が始まりました。1か月ほどたち、あとは足場を撤去するのみです。
ちょうど同じころに、事務所の上にツバメが巣の工事を始め、こちらは通気管を足場にして3日で完成し、今では雛もかえり、一層にぎやかになりました。左側は前からあり現在スズメが占拠中で、右の小さいが新しいツバメの巣。
この季節は彼らの餌となる虫も多くなり、宿泊などがあり夜間も電気をつけていると、朝には虫が散乱しています。時を同じくして、綾部市里山交流研修センターの周りには大量のクモの巣が建設されます。
ほっておけば当センターはクモの巣に覆われたお化け屋敷みたいになるかもしれませんが掃除のときにはせっかくのクモの作品を取るのが気の毒な気もする。毎日掃除していただいていた方によると、翌日にはまた建設されるそうです。センターのあちこちには掃除を逃れたクモの巣が散見されますが、お許しください。
今週NHKのテレビ番組「ダーウィンが来た」で築100年!小鳥の巨大マンションと題してアフリカ南部の乾燥地帯に住むシャカイハタオリという鳥の特集を放送していました。
シャカイハタオリはスズメくらいの小鳥で、集団で大きな巣にすみ、大きいものは築百年の巣もあるそうです。寿命は6年くらいと言いますから、人間でいえば 1000年くらい先祖代々補修しながら家を受け継いでいるといえるかもしれません。「シャカイハタオリ」はハタオリドリ科の一種で「シャカイ」というのはその学名からすると、「社会」のようです。彼らはよその子の面倒も見るらしいです。(参考)
「1工程多い季節」
祖母や父がその昔、こう教えてくれたものです。
靴や長靴を履くとき、服を着るときは、
いきなり履いたり、着たりしないこと、と。
田舎ではもしかしたら
なかにムカデがいるかもしれないのです。
田舎の夏は、
入った小石を出すように靴を逆さまにしたり、
シャツなどの服も念のために、はたいたり・・・
着用するまでに1工程多いのですね。
農家民泊「素のまんま」の芝原さん宅に
うかがったとき、
旅人にそう教えられているのを聴き、
いまも変わらないのだなあと思いました。
昔は先輩世代から孫子へ伝えられたことが
グリーンツーリズムの時代は
都会からの旅人にも伝承されるのですね。
ムカデを観察していて、思うのは
ムカデの足はしっかりつかむという
特徴を持っていないので助かるってことです。
はたいても落ちないなら手ごわいですので。(笑)
冬はムカデもいないので安心ですが、
なんとかかまれずに今夏を過ごしたいと思っています。
(文・塩見 直紀)
