境界と名前
里山交流大学情報発信学講座が行われました。参加者の中に福井県敦賀市の愛発(あらち)の方と三重県亀山から鈴鹿で勤務されている方があり、愛発には愛発関、鈴鹿には鈴鹿関という関所のつながりがありました。それぞれ古代の重要な関だったようで岐阜の不破関を加え三関(さんげん、さんかん)と呼ばれるそうです。交流会では奈良の都を守るためではないかと歴史談議になりました。
日本語の語源辞典(西垣幸夫著)で「関東」の項目を見ますと奈良時代から伊勢国鈴鹿関、美濃国不破関、越前国愛発関の三関以東をさした。
とあります。日本の中に多くの国が存在した頃は関も多く存在しましたが、現在日本の玄関ではもっぱらインフルエンザのチェックがされています。
先週、駅の命名権が年間30万円で売却とのニュースがありました。
赤字解消対策として駅舎表玄関の駅名看板の命名権の募集をしていた三陸鉄道(山口和彦社長)は27日、宮古駅の駅名を「アイフルホーム宮古駅」と改め、除幕式を行った。(中略) 4駅(久慈、宮古、釜石、盛)の駅舎表玄関の看板の命名権の募集をした。残り3駅の応募はまだない。(2009年4月27日 asahi.com)
数年前から競技場などではおなじみになりましたが、今週は財政破綻の影響で閉鎖されていた夕張市の公衆便所の命名権が売却され再開しました。
初日はセレモニーなどはなかったが、午前9時に再開されると、マイカーでやって来た観光客や地域のお年寄りたちが早速、利用していた。(2009年5月2日 mainichi.jp)
3年ほど前には国の財政改革の提案(自民党財政改革研究会)に国道や橋などの命名権を売却するプランがありました。命名権.comの販売情報一覧を見ますと、地方自治体の公共施設や道路などが並んでいます。星の名前(学術名でなく、天文台による認定)や東京都の公園のベンチなどの販売も紹介されています。
平成の市町村合併では、市の名前を平仮名表記にしたり「新」をつけたり、由緒ある町名がなくなるところもあり、命名は各地で苦労したようです。
敦賀にある気比神社の神は、人間と名前を交換したと古事記にあるそうです。名は体を表すといいますが、神の名を得た人は神になりました。神は名を交換したとしても神は神。いずれも気比神社には神としてまつられています(参考)。
人は境界性というものに障害があると、人格に異常をきたします。夏が嫌いという友達がいました。体温と気温が近いので、自分が分からなくなると言いました。とても個性的な友達です。
廃藩置県以降、行政上の境界ははっきりしましたが、関所がなくなり境界はむしろあいまいになったのかもしれません。その代わりに個性や名前を大事にしたいと思います。里山交流大学情報発信学講座では、各自がおさめた写真に名前を付けます。名前を付けることに価値があるからこそです。命名権ビジネスもうなずけます。(マエダ)

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