相反するもののバランス(VOL.356 2008.12.09)

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先日、MAC京都の公益法人研修会に参加してきました。京都市交通局協力会の乾雅晴会長の株式会社化する公益法人の動向についてのお話や、綾部市の四方八洲男市長の講演「地方自治も経営だ」がありました。立命館大学の千代田邦夫教授は「包括外部監査法人から見たパブリックセクターのあり方」の演題でお話をされ、複式簿記が陰陽に通ずるというお話が印象的でした。

受動的な性質を「陰」、能動的な性質を「陽」に分類する。(中略)これらは相反しつつも、一方がなければもう一方も存在し得ない。森羅万象、宇宙のありとあらゆる物は、相反する陰と陽の二気によって消長盛衰し、陰と陽の二気が調和して初めて自然の秩序が保たれる。(wikipedia「陰陽」)

調べてみますとイタリアの数学者ルカ・パチョーリーは500年以上前に、地球上の営みの根本原理は、宇宙のバランスであると考え、宇宙を支配する陰陽のバランスを経済活動の計算過程にとりいれ、複式簿記を初めて説明したことで、会計の父と呼ばれている。大航海時代のイタリアの貿易商人たちは航海ごとに資本を募り、複式簿記をつけていたそうです。

陰陽というと、平安時代の吉凶を占う陰陽師を連想しますが、陰陽そのものが吉凶を表すものでなければ、善悪でもプラス/マイナスでも因果でもトレードオフの関係でもありません。たとえるなら表裏や左右のように見方を変えるとひっくり返るような相対的なものだと思います。マクロビオテックや漢方薬では、相対的な陰陽というのが食事や投薬を決める重要な要素となっているようです。

スローイズビューティフル」の著者でNGOナマケモノ倶楽部を設立した辻信一氏は、お金について、社会が平和で安定したものであるには「陰陽」のバランスが必要なのだが、これまでの経済は男性的な「陽」のエネルギーをもつ通貨に支配されてきたとし、既存の通貨にとって代わるものでなく、それを補完する女性的な「陰」のエネルギーを活性化するスローマネーの必要性を説き、実際に地域通貨「ナマケ」も実践しておられる。

里山ねっとでは、21世紀の生き方暮らし方として農のある生活を提案し、田舎暮らし相談を受ける中で、さまざまなライフスタイルを目にすることがあります。これらのライフスタイルは必ずしも一方向ではありません。シンプルライフ、エコロジー、サステナブル、健康志向などはいずれもスローライフの文脈で語られることがありますが、それぞれは別のものです。しかし辻信一氏はこれらには共通のエネルギーがあるとおっしゃいますが、僕には良く分かりません。

しかしながら、現代科学でも交感神経と副交感神経のような相反する制御がひとつの器官に作用していることが知られていますし、最近初代新幹線「0系」が操業終了でニュースになりましたが、新型のN700系のデザインには相反するような条件からバランスの取れた解を見つける遺伝的アルゴリズムという技術が使われていて(参照)、これは計算機の世界でヒューリスティックと呼ばれる技術の一つで、必ず正しい答えが導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得るもので、さまざまな分野で利用されています。

陰陽を相対的なものとすれば、既存の通貨にも、スローライフにも陰陽があるといえます。今の私には陰陽についての素養も世界を見る目もありませんが、何かもっと知るべき陰陽があるはずだと、来年度の予算を立てるべく会計ソフトと格闘しながら思いました。(マエダ)

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このページは、ayabeが2008年12月 9日 23:12に書いたブログ記事です。

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