「聴く力」・・・VOL.254(2006.04.04)

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「聴く力」


この何年か、出版業界では
「〜力(りょく)」というタイトルの
本がよく売れているようです。

みんな21世紀を生きていくための
「力(ちから)」を求めているのですね。

現代詩人を代表する茨木のり子さんが
この冬、帰天されました。

茨木さんの詩「自分の感受性くらい」に
ぼくは何度しかられたことでしょう。

茨木さんがぼくたちに遺してくれた詩に
「聴く力」というのがあります。

ボランティアの世界では「傾聴」が
1つのキーワードになっていますが、

万象への「聴く力」がいままさに
求められているのかもしれないと

詩を再読して思いました。

自然の声を、自分や他者の声に
耳を傾けることがますます大事な時代
となっているようです。


「聴く力」   茨木のり子

ひとのこころの湖水
その深浅に
立ちどまり耳澄ます
ということがない

風の音に驚いたり
鳥の声に惚けたり
ひとり耳そばだてる
そんなしぐさからも遠ざかるばかり

小鳥の会話がわかったせいで
古い樹木の難儀を救い
きれいな娘の病気まで直した民話
「聴耳頭巾」をもっていた うからやから

その末裔(すえ)は我がことのみに無我夢中
舌ばかりほの赤くくるくると空転し
どう言いくるめようか
どう圧倒してやろうか

だが
どうして言葉たり得よう
他のものを じっと
受けとめる力がなければ

***

(文・塩見直紀)

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このページは、ayabeが2006年4月 4日 11:28に書いたブログ記事です。

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