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2007年05月29日
「旅する民俗学者」(vol.314 2007.05.29)

「旅する民俗学者」
5月15日、府中市郷土の森博物館(東京)で開催中の
「宮本常一の足跡~旅する民俗学者の遺産~」展
に行ってきました。
『忘れられた日本人』で有名な民俗学者・宮本常一
(1907~1981)の生誕100周年記念事業です。
約16万キロ、地球4周分の日本の山村、離島を歩き、
日本観光文化研究所長だった宮本さん。
とても気になる人物です。
たくさんの刺激を受けたなかで特にインスパイアされたのが、
宮本常一さんが15歳のとき、
就学のため、周防大島から大阪に出る大正12年(1923年)、
父(善十郎)から送られたことば(父の十ヶ条)です。
このことばによって、
旅する民俗学者の旅の方向が決まったそうです。
特に印象的だったものをいくつかご紹介しましょう。
一、汽車へ乗ったら窓から外をよく見よ。
田や畑に何がうえられているか、育ちがよいかわるいか、
村の家が大きいか小さいか、瓦屋根か草葺きか、
そういうこともよく見ることだ。
駅へついたら人の乗りおりに注意せよ、
そしてどういう服装をしているかに気をつけよ。
また、駅の荷置場にどういう荷がおかれているかをよく見よ。
そういうことでその土地が富んでいるか貧しいか、
よく働くところかそうでないところかよくわかる。
二、村でも町でも新しく訪ねていったところは
かならず高いところへ上って見よ、
そして方向を知り、目立つものを見よ。
峠の上で村を見おろすようなことがあったら、
お宮の森やお寺や目につくものをまず見、
家のあり方や田畑のあり方を見、周囲の山々を見ておけ、
そして山の上で目をひいたものがあったら、
そこへはかならずいって見ることだ。
高いところでよく見ておいたら
道にまようようなことはほとんどない。
十、人の見残したものを見るようにせよ。
その中にいつも大事なものがあるはずだ、
あせることはない。
自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ。
(宮本常一『民俗学の旅』講談社学術文庫より)
大正12年、15歳のときに父からもらった「十ヶ条」。
こういう視点を子どもの頃、みんなもらえたら、
すごいですね。
人の見残したものを見るようにせよ。
その中にいつも大事なものがあるはずだ
ということばや
あせることはない。
自分のえらんだ道をしっかり歩いていくことだ
ということば、こころにしみます。
(文・塩見 直紀)
投稿者 satoyama : 2007年05月29日 12:02